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Limit battle/第86話

第86話~厄介が増して~


店の前に置いてあったはずのワンダーシビックを盗まれ栄治は激怒していたが、流石の彼も怒っていても仕方が無いと思い、

気を取り直し話を切り替えた。

栄治「…まァ、車が無くなったわけだから…その辺の好きな車持ってって…」

修「そ、その辺って…」

彼は迷った。目の前には一度は乗ってみたい車が山ほどある。

その中で一際目立つのは…やはり栄治のインプレッサだった。

修(流石にこのインプはダメだな…)

そう思い、目を別のところにやった。

修(お、このシートかぶったのはなんだ?」

栄治「あー。それね。それ外車だけど別に潰してもいいヤツだから乗ってくさ。」

修「え?外車?」

修(潰してもいいって事はメッチャ古い車か…?」

彼はゆっくりとシートをめくる。すると、リア部分が現れた。とにかく黒いのは分かる。それに言うほどでかくない。と言うより

横幅がデカくて少し縦が小さい。

修(ん…?これどっかで…)

リア部分が見えたところで一気にシートを捲る。

修「な、なんじだこれぇぇ!?」

栄治「何って…パンテーラやん。俺がお遊びで買った車。でも最近使わないし、峠に持ってって遊んでおけ。」

そう。そのシートの下には真っ黒のボディに多少シルバーのステンレスボディが剥き出している見た目。

修「す、すげぇ…コレってパンテーラのなんですかね?」

栄治「コレはデ・トマソ・パンテーラGTSGT―5だ。コレ昔の値段だったら高ぇよー?」

修「こ、こんな車乗れませんよ!壊したら…」

栄治「気にしない気にしない。気にしたら俺に悪いからさ!」

修(何だこの人…)

彼は栄治の強引さに甘え、パンテーラを代車として借りた。

修(とりあえず、借りるだけ。絶対峠では走らないっ)

そして、修はパンテーラを借りてEIJI SPEEDを後にした。


~修家


陽介「お…おぉ…気持ちいいっ!」

香苗「ちょっと、動かないでって!」

陽介は香苗の膝を枕にしながら耳掃除をして貰っている。

と、外から日本車じゃないV型エンジンの低い音が聞えてくる。

陽介「ん?」

彼は起き上がろうとした。

陽介「うぎゃ!!」

どうやら耳ほりが耳の奥にあたったみたいだ。

香苗「ちょ、よっちゃんが動いたんだからね!?」

陽介「痛ててて…たく、何の音だよ!」

彼は足音を大きくたてながら外へ出た。

陽介「おゥ!?パ、パンツ…じゃなくて。パンテーラ!!!」

そのパンテーラは躊躇無く陽介のS15の横へ止めた。

陽介「ちょ!何でオレっちに!?」

パンテーラから修が降りてくる。

修「よー。兄さん耳押さえながら何してんの?」

陽介「よー。じゃ無くて、なんだそのパンチーラ!…パンテーラ!」

修「あぁ。コイツはランエボのチューンの間の代車だって。」

陽介「んまぁ!羨ましい事ですわ!俺に貸しなさい!」

修「ヤダよ。」

彼の即答にガクッと肩を落として落ち込む。

香苗「あら、修君お帰り~。わー!パンテーラかな?凄いじゃない!」

修「まね。でも、コイツで走りには行かないから。」

陽介「何だよ勿体ねぇ。」

修「はいはい。」

手をヒラヒラしながら部屋の中へ入っていく。



PM.20:40

修「アー。暇だ。美雪そろそろバイトも終わっただろ。遊び行こうかな。」

彼は携帯を取り出して電話しようとした。

すると、携帯が鳴り出した。

修「誰だ?あ、鏡野さんか。」

電話へ出た。

鏡野『よーしゅー!』

修「人の名前を挨拶と一緒に訳さないでください。」

鏡野『いやー。すまねー。ところで今から暇か?出来れば静岡の峠に来て欲しいんだけど…ここは…静岡峠って峠!何か地元で

走ってる白いZのヤツに聞いたんだけど。ココで鬼速いランエボが2台も居るって話だったからよ!今の時間帯なら黄色いのには

会えるかもって言ってたぜ!でも、ヤツの話によると一番速いのはシルバーのヤツらしいけど。』

修「へぇー。じゃぁ今から行きますね。」

鏡野『おう!じゃぁな!』

修「あ、やべ。車違うって事忘れてた。まぁ、走るわけじゃないからいいか。」

彼は階段をゆっくり降りて靴を履き、ガレージに止めてあるパンテーラに乗り込んで静岡峠を目指した。

修「あ、美雪もつれてくかな。」

彼はアポなしで美雪の家へ行った。


~美雪家

彼女の家の呼び鈴を鳴らすと美雪の姉、瑞穂が出た。

瑞穂『はいはーい!あ、修君じゃん!どうしたの!?』

修「こんばんは。美y」

瑞穂『アタシに会いにきてくれたんだ!?ウレシーい!」

修「いや、あの…」

すると瑞穂の後ろから美雪の声が聞える。

美雪『ちょっとお姉ちゃん!何してんのあっち行きなさい!』

瑞穂『もー何よー!いいじゃん…たく…』

どうやら瑞穂は何処かへ行ったようだ。

美雪『ごめんねー…今そっち行くから。』

修「あ、ああ。」

ちょっとして、美雪が家から出て来た。

美雪「お待たせ!って!何その車!」

修「あ、コレ代車なんだ。栄治さん所の。」

美雪「へぇ!凄いじゃない!パンテーラなんて!」

修「そうだろ!?」

美雪「で、どうしたの?行き成り?」

修「あぁ、その、今からお前に用が無いなら静岡峠にパンテーラでドライブ行こうかともってさ。」

美雪「ホント!行く!ちょっと支度してくるから5分待って!」

修「あぁ。」

そう言い、美雪は家の中へ支度をしに入っていた。

すると、美雪と入れ違いに瑞穂が出て来た。

瑞穂「修君!久しぶりー!寂しかったよー!」

そういいながら修に飛びついた。

修「うぇ!?ちょっ!」

瑞穂「チョ!何パンテーラじゃん!」

修「ええ。コレ代車なんですよ?EIJI SPEEDって言う。」

瑞穂「あー。栄治んとこね。知ってるよ。栄治は。」

修「え、ホントですか?」

瑞穂「うん。だって彼氏だもん!」

修「…え」



第87話へ続く。


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